フィジオセンターではこれまで、歩行時の変形性股関節症に関する情報を、ブログから数多くお届けしてきましたが、今回は「階段昇降時」に注目した内容について解説します。
階段の上り下りは、平地歩行よりも股関節にかかる負荷が高く、変形性股関節症の方にとっては痛みや違和感を強く感じやすい動作です。しかし、その動作中の「身体の使い方」について、これまで十分に研究されていませんでした。
今回は、アメリカ・カリフォルニア大学から発表されている論文の内容を、臨床に活かせる視点で解説します。
□研究の概要
この研究では、変形性股関節症をお持ちの方の42名と、健康な対照群の方30名を対象に、階段昇降時の股関節・膝関節・足関節の三次元動作解析を行いました。
□ 主な結果
【階段上り】
・変形性股関節症をお持ちの方は、股関節の内旋角度が増加(膝が内側を向く傾向)していた。
・変形性股関節症をお持ちの方は、股関節外転角度(足が外側に開く傾向)の減少していた。
【階段下り】
・変形性股関節症をお持ちの方は、膝の伸展角度(膝がより伸びる傾向)が増加していた。
・変形性股関節症をお持ちの方は、膝関節・足関節の外旋角度(膝・足が外を向く傾向)が増加していた。
□臨床的な検討
この研究では、変形性股関節症の方が階段昇降時に下肢全体で回旋の「代償動作」を行っていることが明らかになりました。これらの異常パターンの原因として、股関節周囲筋(特に外旋筋群)の筋力低下、股関節内の構造的な障害、疼痛(痛み)回避動作 などが背景にある可能性を指摘しています。
□これらの症状に対しての考え方と対策
この研究結果は、「動作中の回旋動作の評価と介入」の重要性を裏付けていると考えられます。特に以下のポイントに着目した運動療法が有効と考えます。
・ 股関節外旋筋群(上・下双子筋、内・外閉鎖筋、大腿方形筋など)の筋力強化:股関節内旋の過剰を防ぐためには、股関節外旋筋群の選択的トレーニングが大切です。
・階段昇降動作の動作パターンの修正:階段動作時の股関節内旋(膝が内側に入ってしまう)を傾向を軽減する事が大切です。具体的には、体幹・骨盤の安定化や足部アライメントに着目した動作指導が重要です。
□まとめ
変形性股関節症は「関節の変形」だけでなく、「動き方そのもの」にも異常が生じます。 特に階段の上り下りという日常生活で避けられない動作において、股関節の過剰な内旋(膝が内側を向く)事など、見えづらい動きの崩れが起きていることがわかっています。
フィジオセンターでは、これらの動作のクセを的確に評価し、運動療法と動作パターンの修正を通じて「股関節にやさしい動き方」へのアプローチを行っています。変形の初期やお持ちの不具合が軽いうちから「動き方」に目を向けることが、変形性股関節症の進行予防にとって大切です。
当センターでは変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの股関節に対して最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志