本日のブログでは、クライアントの方からご質問を頂く事のある、股関節痛に関わる自転車のハンドルやサドルの高さについて海外論文を一部引用して解説します。
自転車は関節への衝撃が少なく、変形性股関節症の方にも推奨される事もある有酸素運動の一つですが、その一方で、ハンドルやサドルの位置関係の不適切さが股関節痛の原因になることが、近年の研究で明らかになっています。
今回は、Wadsworth & Weinrauch (2019)による論文から、股関節の余分な負担を軽減するために重要な自転車のフィッティングについて記載します。
□自転車で起こる股関節障害とは?
サイクリングに関連する股関節痛は、股関節内障(intra-articular pathology)と筋・筋膜性疼痛(myofascial pain)の大きく2つに分類できます。
特に注意が必要なのが、過去のブログでも繰り返しご紹介してきた「大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)」と変形性股関節症です。
FAIでは、大腿骨頭頸部と寛骨臼の骨形態異常(cam変形・pincer変形)により、股関節屈曲や内旋時に骨同士が衝突し、関節唇損傷や関節軟骨のストレスを引き起こします。これが長期的な視点に立った場合に関節変性を進行させて、変形性股関節症に至るリスクがあるとされています。
また、自転車のペダリング動作では、ペダルが最も高い位置に来る瞬間に、股関節屈曲角度が最大となります。この時の屈曲角度が、解剖学的な股関節の可動域を超えてしまうと、FAIをお持ちの方ではインピンジメントが生じやすくなります。
□自転車のフィッティングで重要なポイントとは
1つは、 サドルの高さ・前後位置です。サドルが低すぎると股関節の屈曲角度が大きくなり、インピンジメントリスクが上昇します。以下は調整がなかなか難しい所ですが、サドルが後方に位置していると、股関節屈曲と殿筋への負荷が増加します。
2つ目は、ハンドル位置です。ハンドルが低すぎたり、遠すぎると、股関節屈曲が大きい角度で必要となるため、股関節痛や腰痛の原因となります。これらの内容から、股関節の屈曲角度に制限をお持ちの方の場合は、ハンドルは高め・近めが推奨されます。
□実際のフィッティングでは何を行うのか?
フィジオセンターでは、股関節痛をお持ちの方に対し、関節可動域、筋肉の長さ検査、筋力、骨盤帯・腰椎の柔軟性など身体機能評価を行った上で、最適な自転車のポジション調整(バイクフィッティング)を提案しています。
具体的には、ご自宅での自転車にまたいだ状態で写真や動画を撮影して頂き、目視で動きを確認します。例えば、股関節屈曲角度が、本人の解剖学的可動域の80〜85%以内に収まるよう調整します。また、過剰な骨盤帯や腰椎の回旋が加わらない様に、骨盤の安定性を確保し、体幹のインナーマッスルの活動を促すポジションを目指して調整します。
当センターでは変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの股関節に対して最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志