歩行時の股関節と足関節の働きの性差について

歩行時の股関節と足関節の働きの性差について

歩行中に痛みを感じる、特に若年層で活動的な方々の中には「股関節由来の痛み」に悩まされる方が少なくありません。本日のブログでは、股関節に痛みをお持ちの方々の、歩行時の股関節と足関節の働きの性差の可能性について解説します。

今回ご紹介する研究は、歩行時の「蹴り出し(terminal stance)」における股関節と足関節の関節モーメントとインパルス(力の大きさ×作用時間)に着目し、股関節に痛みをお持ちの方々が、どのような動作戦略をとっているかを明らかにした内容となります。

□股関節痛のある女性は“股関節も足関節も”力の発揮をを抑えている?
この研究では、股関節痛を持つ患者42名(男女別)と健常者20名を対象に、歩行中の運動解析を実施しました。股関節屈曲筋に加わる力と足関節底屈筋に加わる力を分析したところ、興味深い性差が浮かび上がりました。

□主な結果
股関節痛を有する女性は、痛みのある股関節側で以下の特徴がありました。

1つ目は、股関節屈曲筋に加わる力が、股関節痛のない女性と比較して有意に低下している事
2つ目は、足関節底屈筋に加わる力が、股関節痛のない女性との比較、またの健側より有意に低下している事

一方で男性の股関節痛を持つグループでは、これらの関節に加わる力に有意な差は認められませんでした

この結果から、股関節に痛みを有する女性は「股関節」と「足関節」の両方で負荷を下げる戦略ををとっている可能性があると示唆されています。

□通常、足関節は“代償的”に使われるのでは?
過去のブログでもご紹介した、先行研究では、股関節の負担を減らす代償として足関節の底屈の作用が増加するという報告が多くあります。例として、歩行中に「足でしっかり蹴る」ような動作を促すと、股関節の前方にかかる力が減ることが知られています。

しかし今回の研究では、女性の股関節痛を持つ患者では足関節も股関節も同時に力の発揮が低下する。という戦略がみられ、これはこれまでにない新たな発見です。

□ 臨床的に考えられるフィジオセンターでの応用
1つ目は、特に女性の股関節痛を持つ方に対しては、股関節だけでなく足関節の筋力や機能を個別に評価し、状態によって選択的なエクササイズを行う事

2つ目は、歩行時に必要な蹴りだしをサポートできるような、適切な足部・足関節の適切な固さをサポートする事

3つ目は、強化した足首と痛みのある股関節を強調して働くエクササイズを行う事

上記の内容が考えられます。

□まとめ
当センターでは股関節や膝関節に痛みをお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、その方にとって最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。

ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

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