□はじめに
本日のブログでご紹介するのは、「一側の変形性膝関節症が、反対側の変形性股関節症に関係するか?」を調べた最新の研究です。中国の研究チームが発表したもので、162人の片側の変形性膝関節症の患者さんを対象に、股関節との関係を分析しました。
□研究の概要
対象となったのは、一側の膝に変形性関節症があり、人工膝関節置換術が予定されている患者さん162名です。研究チームは以下の点を評価しました。
・膝関節と股関節のレントゲン画像による変形の程度(KLグレード)
・症状の程度を表すKnee Society Score(KSS)
・発症からの期間や体格(BMI)
特に、「膝と同じ側の股関節(同側)」「反対側の股関節(反対側)」の変形の程度に着目し、膝関節症の影響がどちらに強く現れるかを検証しました。
□主な研究結果とポイント
1つ目は、「反対側の股関節」が変形しやすい事です。研究では、一側膝関節症の患者さんで、同じ側の股関節よりも、反対側の股関節の方が変形が進んでいるケースが多いという結果が出ました。特に病歴が5年以上ある人や、KSS(膝の機能評価)が低い人では、反対側の股関節に中等度以上の変形(KLグレード2以上)がみられる割合が有意に高い事がわかりました。
2つ目は、変形の進行は「画像」より「膝関節の機能」に注目
膝のレントゲン画像の重症度よりも、「膝関節の機能(KSSの機能スコア)」が変形性股関節症と関連していたというのも興味深いポイントです。つまり、画像よりも実際の機能低下が、股関節への負担につながっていることが示唆されました。
3つ目は、 「片足をかばう歩き方」が反対側の股関節に作用している可能性です。膝の痛みがあると、私たちは無意識に反対側の足に重心を移して歩いたり立ったりします。この「代償動作」によって、反対側の股関節に過剰な負担がかかり、変形が進むのではないかと考えられています。
□臨床での応用とフィジオセンターの対応
1つ目は、膝に痛みがある場合、股関節の機能も併せて確認する事が大切です。片側の膝に痛みや機能低下がある場合、まだ症状のない反対側の股関節にも注意が必要です。特に長期間痛みを我慢していた方や、膝の動きが極端に悪い方は、股関節の可動域や筋力、歩き方のフォームのチェックを行う事が大切です。
2つ目は、 関節を守るには正しい動きと筋力の回復が重要だという事です。本研究では、筋力の低下や関節の不安定性が、別の関節にも影響を与える可能性が示されています。フィジオセンターでは、痛みのある部位だけでなく、全体のバランスや各関節の関連性を評価し、正しい歩き方・必要性の高いエクササイズを実施しています。
□まとめ
当センターでは変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志