変形性膝関節症・変形性股関節症と歩き方の関係について

変形性膝関節症・変形性股関節症と歩き方の関係について

フィジオセンターでは、変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方々に対して、より安全で効果的な運動療法を提供するため、また変形性関節症に対する理解を深める事を目的にブログを定期的に更新しています。今回は、「歩行中のバイオメカニクスが下肢関節の構造的な疾患進行とどのように関係するのか?」についてまとめたシステマティックレビュー(D’Souzaら, 2022)をご紹介します。

□研究の概要
この研究は、歩行時の特徴が、変形性膝関節症・変形性股関節症の発症や進行に関係しているかを検証するために過去の様々な研究をまとめたものです。主には、『歩行中に関節にどのような力が加わっているか(バイオメカニクス)』と、『経過としての関節の変形の進み具合』との関係が分析されました。

□研究の結果
レビューでは、91%の研究で、歩き方の特徴が関節の変形と関係している事が明らかになりました。特に以下のような結果が注目されました:

・早期に足が床についている時期の早期立脚期のKAM(膝内反モーメント)が高いと、膝関節の内側の変形リスクが1.88倍に上昇する事
・膝の「ラテラルスラスト(膝が外側へ移動するうごき)」が認められる人では、進行リスクが1.97倍に上昇する事
・股関節においては、前方から見た際の累積モーメント(1日に加わる股関節への負荷)や股関節屈曲角度と変形性股関節症進行との関連が示されています

□フィジオセンターでの臨床応用
この研究結果を参考にして、以下のようなアプローチ方法が考えられます。

1つ目は、歩き方や姿勢のチェックとアドバイスです。痛みのある関節をかばうことで、知らず知らずのうちに他の関節に負担をかけてしまうことが少なくありません。フィジオセンターでは「歩くときの姿勢」や「身体の使い方」をチェックし、出来る限り無理のない動き方をお伝えしています。

2つ目は、体幹のインナーマッスルや機能の低下しやすい殿筋群のエクササイズを行う事です。股関節や膝関節への負担を減らすためには、体幹のインナーマッスルや殿筋群のエクササイズを行う事が大切です。フィジオセンターでは、ご自宅でもできるセルフエクササイズをお伝えします。

3つ目は、歩きすぎによる関節の疲れへの対策です。歩数が多く歩く場合に、歩き方に偏りがあると関節に負担が集中してしまいます。そのため、歩き方を整えたり、T字杖の使用やノルディックウォーキングのポールを使用するなど、変形をお持ちの関節に加わる負担を軽減する事も大切です。

□まとめ
D’Souzaらの研究は、変形性膝関節症・変形性股関節症の発症・進行には「関節も元々の構造の要素」だけでなく、「歩き方の特徴(関節に加わる力)」が強く関与していることを示した重要な報告です。特に、股関節に関しては累積的な力学的負荷が変形に関与すると考えらえています。

当センターでは、変形性膝関節症・変形性股関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。

ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

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