腰椎分離症は、成長期のスポーツ選手に多くみられる疲労骨折であり、治癒には数ヶ月以上の期間を要することも少なくありません。医療機関での治療やリハビリテーションはもちろん重要ですが、日常生活の過ごし方も骨癒合の進行を大きく左右するという点は、見落とされがちです。
本日のブログでは、「痛みが軽減した後も骨癒合を順調に促すためにはどのような生活習慣が重要なのか」を解説します。
□ 骨癒合を阻害する要因と、生活習慣を見直す重要性
腰椎分離症は、腰椎の椎弓に対して繰り返しストレスがかかることで発生する疲労骨折です。骨癒合を促進するためには、「骨折部へ無駄なストレスをかけない生活」を心がける必要があります。骨癒合を妨げる主な生活習慣として、以下のようなものが挙げられます。
1つ目は、長時間の反り腰姿勢です。運動を中止していても、立った姿勢での過剰な反り腰が長時間続く事は、分離を呈している腰椎への負担が増加する事が想定されます。医師や医療機関での許可が得られている範囲で、固く短くなっている筋肉のストレッチやリリース、弱化している筋肉への関節運動を伴わないエクササイズを実施する事で、過剰な反り腰ではなく立てる体作りが大切です。
2つ目は、栄養バランスの偏りです。骨の回復には、以下の栄養素が欠かせません。カルシウム(乳製品、小魚、青菜など)、ビタミンD(鮭、卵、日光浴)、タンパク質(肉、魚、卵、大豆製品)、マグネシウム(ナッツ、海藻、玄米)が考えられており、海外の研究では中高生アスリートにいては、カルシウムとビタミンDの摂取が疲労骨折のリスクを低下させる事が報告されています。
3つ目は、医師や医療機関の診察の内容に沿わない形でのトレーニング再開です。時折、治療の経過の途中で、医師の診察や医療機関への通院を自己判断で中止してしまう方もおられます。このような場合は、骨癒合が得られにくくなるばかりか、症状が増悪してしまう事があります。しっかり診察の際に話し合いを行い治療方針の決定と、治療方針が決定してからは、その内容をしっかりと守って頂く事が大切です。
4つ目は、睡眠不足による成長ホルモンの低下です。先行研究には、成長期のアスリートでは睡眠時間が短い場合に疲労骨折の発生リスクが高い事を報告している内容もあります。骨癒合を促していくためには、睡眠時間の確保も重要です。
□ まとめ
腰椎分離症では、初期~進行期のケースにおいては骨癒合が期待できるため、治療方針として骨癒合を得る事を目標にする場合があります。その場合は、適切に骨癒合を促すための生活習慣が大切です。
医療機関を受診して腰椎分離症と診断された方や、その疑いがありながらも医療機関での外来リハビリテーションが受けられない方、保険制度上リハビリが終了してしまった方、部活動と両立しながら腰椎への負担を軽減する目的でのリハビリテーションをご希望の方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志
フィジオセンター
TEL:03-6402-7755