変形性関節症の身体活動と生活スタイルとの関係について

変形性関節症の身体活動と生活スタイルとの関係について

フィジオセンターでは、変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方々に対して、より安全で効果的な運動療法を提供するため、また変形性関節症に対する理解を深める事を目的にブログを定期的に更新しています。

本日のブログでは「1日のうちの活動時間帯と変形性関節症の痛み・機能・疲労感・睡眠障害の関連性」を明らかにした注目の研究(Beauchampら, 2022)をご紹介します。

□研究の概要

本研究は、変形性股関節症・変形性膝関節症を有する65歳以上の高齢者54名を対象に、加速度計を用いて1日の身体活動パターン(午前・午後・夜)を分析し、それぞれの時間帯の座位行動と主観的な症状を示すスコアとの関係を明らかにしたものです。

活動量は加速度計により1分単位で記録され、以下の3つに分類されました:
『座位での活動』、『軽度の活動』、『中等度~高強度の活動』

さらに、主観的評価として以下のスケールが用いられました:
『WOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index):関節の痛みと機能障害を評価』
『疲労スケール(NRS)』
『PROMIS睡眠障害スケール』

□研究の結果

参加者は1日のうち、平均して以下のように多くの時間を座って過ごしていることが明らかになりました:
・朝(起床~12時):65.6%
・昼(12時~17時59分):70.0%
・夜(18時~就寝):76.6%

また、中等度~高強度活動は全体で1日平均7.4分と非常に少ない結果でした。
さらに、座位時間と各症状の関連性を見ると、「午後に長時間座っている人ほど、日常生活での動きにくさや疲労を感じやすい」傾向が示されました。一方、睡眠障害との相関は弱く、座位時間との明確な関連性は見られませんでした。

□フィジオセンターでの臨床場面での応用
本研究結果を踏まえると、以下のような内容が考えられるかと思います。

1つ目は、午後の“座りっぱなし”時間の見直しです。午後に座って過ごす時間が長い方は、筋肉の機能や関節機能の低下と関連することが示されました。身近な方法でできる事としては、午後は積極的に体を動かす、デスクワーク中も30分に1回は立ち上がりデスク回りを歩く、軽いウォーキングやストレッチを取り入れる。これらの「午後の活動量の底上げ」を意識する事が大切です。

2つ目は、疲労を考慮した“活動時間帯”の提案です。多くの方が、午後〜夕方にかけて疲労を感じやすくなります。本研究でも、夕方の座位時間と疲労感の間に相関が見られました。対応方法としては、疲労が少ない午前中に重要な用事や運動を実施する事、疲れが出てくる時間帯は無理のない軽い身体活動に留める等、このように、一人ひとりの症状・生活スタイルに合わせた時間帯別の調整を行うことが大切です。

□まとめ
Beauchampら(2022)の研究は、「変形性関節症の身体活動と生活スタイルとの関係について」に焦点を当てた貴重な報告です。午後や夕方の“座りすぎ”が生活機能の低下や疲労に結びつきやすいことが示されました。

当センターでは、変形性膝関節症・変形性股関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。

ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

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