脊柱・股関節のタイプが末期変形性股関節症の歩行パターンに与える影響について

脊柱・股関節のタイプが末期変形性股関節症の歩行パターンに与える影響について

フィジオセンターでは、変形性股関節症をお持ちの方へ向けて、定期的にブログにて情報発信を行っています。今回は、脊柱・股関節のタイプが末期変形性股関節症の歩行パターンに与える影響についての研究内容について解説します。

□研究の概要
この研究は、末期の変形性股関節症を持つ患者様を対象に、背骨と骨盤のバランスの違いによって歩行のパターンがどう変わるかを調べたものです。

本研究では、末期の変形性股関節症の患者様を3つのタイプ(タイプA・B・C)に分類しました。それぞれのタイプについて、立位下肢~脊柱全般を撮影する事が可能なでレントゲン検査(EOS撮影)を使って背骨と骨盤のバランスを計測して、その後に実際に歩くときの様子を詳しく記録しました。歩行の計測には、体に反射マーカーをつけてカメラで動きを捉える、三次元動作解析装置が用いられています。

□主に調べたポイントは次の4つです。
・歩幅や足を地面につける時間などの歩き方の基本的な特徴
・骨盤や股関節、膝関節などの関節の動きの大きさ
・歩いている間の体の重心の移動
・歩き方全体のバランスを数値化した歩行のスコア

□背骨と骨盤のバランスのタイプについて
末期の変形性股関節症を持つ方は、背骨と骨盤のバランスによって次の3つのタイプに分けられます。

・タイプA(バランスが崩れているタイプ):体の重心が前にずれており(SVAが50mm以上)、全体の姿勢バランスが崩れてしまっている状態です。

・タイプB(バランスが取れているタイプ):背骨や骨盤の並びが比較的保たれており、バランスが保たれている状態です。

・タイプC(背骨を無理に反らせてバランスを取っているタイプ):骨盤が前に傾きすぎているため、背骨を大きく反らせて無理にバランスを取っている状態です。

□研究の結果としては以下の内容が示されています。
・歩幅について(ストライド長):タイプAとCの方は、健康な方に比べて歩幅が短くなっていました。

    ・片足で支える時間(立脚期)と足を振り出す時間(遊脚期)について:タイプAの方は、地面に足をつけている時間が短く、足を振り出す時間が長くなっていました。

    ・骨盤の動きについて:タイプAの方は、歩行時に骨盤が大きく揺れていました。

    ・股関節の動きについて:タイプAの方は股関節の動きがかなり制限されていました。

    ・膝の動きについて:タイプAでは膝の曲げ伸ばしも少なくなり、歩くときの柔軟性が失われていました。

    □フィジオセンターでの応用ポイントとしては、以下の内容が考えられます。
    ・タイプAの姿勢をとっている方については、可能な範囲で丸くなっている脊柱や前方に移動している頭部の修正を図るエクササイズを実施します。脊柱も同様に変形を呈している場合は、効果が得られにくくなってしまいますが、極端な円背は脊柱全体や股関節の負担もより大きくなってしまうためです。

    ・タイプBの方々では、脊柱と骨盤が比較的良い位置を保てている事から、股関節に対するアプローチを中心に行う事が可能です。必要に応じて股関節周囲の過剰に固さのある筋肉のストレッチやリリース、インナーマッスルのエクサイズを実施します。

    ・タイプCの方々では、腰部を中心とした過剰な伸展(反り腰)を呈している方が多いため、股関節の安定性を高めるインナーマッスルのエクササイズを実施する事と共に、若干でも過剰な反り腰を軽減するリリースやストレッチを実施します。

    当センターでは、変形性股関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。

    ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
    どうぞよろしくお願いいたします。

    理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
    Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
    LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
    津田 泰志

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