脳卒中のあと、片麻痺になると体のバランスを保つのが難しくなり、歩くスピードが落ちたり、転びやすくなったりします。そうなると、日常生活にも不安や不便が増えてしまいます。
今回の研究では、片麻痺の方を対象に、「スリングエクササイズセラピー」という特別な運動を試しました。この運動は、天井やフレームから吊るしたベルト(スリング)を使って、体を支えながら行います。体幹(お腹や背中まわり)や足の筋肉を鍛えるだけでなく、体の位置や動きを感じ取る力(感覚)も同時に刺激できます。
週に3回、30分ほどのスリングエクササイズを6週間続けたところ…
- 体のふらつきが減り、立っているときの安定感がアップ
- 歩くスピードが速くなり、歩きやすくなった
- バランスのテストや日常生活動作の評価も改善
この運動は、従来のリハビリに比べても効果がはっきりと見られました。安全に行えるので、リハビリに取り入れることで、転倒予防や自立した生活のサポートにつながります。レッドコードを利用した片麻痺に対するリハビリテーション(運動療法)はフィジオセンターのレッドコード国際インストラクターの(大田)までご相談ください。
研究論文:Effects of sling exercise on postural sway in post-stroke patients
「脳卒中患者におけるスリングエクササイズの姿勢動揺への効果」
レッドコードを使用したスリングエクササイズは、片麻痺の方の「立つ」「歩く」を支える力を回復させる、効果的でやさしい運動方法です。病院やリハビリ施設で取り入れられていることも多いので、興味があれば主治医や理学療法士に相談してみましょう。
脳卒中による片麻痺患者は、体幹や下肢の筋力低下、固有感覚の障害により、バランス機能が著しく低下します。その結果、歩行能力や日常生活動作が制限され、転倒の危険性も高まります。本研究では、発症から6か月~1年の片麻痺患者18名を対象に、スリングエクササイズセラピー(Sling Exercise Tharapy:SET)の効果を検証しました。SE群は、体幹・下肢筋の強化と神経制御を目的とした30分間の標準化プログラムを週3回、6週間実施し、対照群は従来型の運動療法を行いました。
その結果、SET群では前後・左右方向の動揺速度、動揺面積、重心移動距離のすべてで有意な改善が認められ、特に前後方向の動揺抑制効果は顕著でした。また、10m歩行速度やBergバランススケールの向上も確認され、日常生活動作(K-MBI)にも好影響を与えました。これらの改善は、従来の運動療法のみを行った対照群よりも明らかに優れていました。
スリングエクササイズは、筋力強化と同時に固有感覚入力や自動的姿勢制御を促すため、単なる筋トレ以上の効果が期待できます。本研究は、片麻痺患者の機能回復において、SETを従来のリハビリに加えることが、バランス能力と歩行能力の改善に有効であることを定量的データで示しました。
フィジオセンター
担当:大田(理学療法士)国際Neurac1,2インストラクター、認定Neuracプラクテショナー
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