腰椎分離症の痛みが消えてもリハビリを続ける理由

腰椎分離症の痛みが消えてもリハビリを続ける理由

腰椎分離症は、スポーツ活動を行う成長期の選手に多くみられる疲労骨折の一種です。発症当初は腰の痛みや運動時痛が強く、スポーツを継続できなくなるケースも少なくありません。しかし治療が進み、痛みが軽減してくると「もう大丈夫なのでは?」と感じてしまい、リハビリテーションやセルフケアを途中で終了してしまう方も、時折おられます。

実際には、『痛みが消えた=治った』 ではありません。腰椎分離症は症状の経過と組織の治癒過程にギャップが生じやすく、痛みが軽減した段階こそ、再発予防に向けた重要な時期になります。本日のブログでは、腰椎分離症で痛みが消えてからもリハビリやセルフケアを継続すべき理由について整理します。

□ 痛みがなくなる時期と骨癒合の時期は一致しない

腰椎分離症では、体幹伸展(反る動き)や回旋(捻る動き)で負荷がかかる腰椎の部分にストレスが集中し、疲労骨折が生じます。急性期は炎症反応が強く痛みを伴いますが、骨癒合には一般的に数ヶ月を要するため、痛みが軽くなったからといって骨が治ったとは限りません。

痛みは局所炎症の減少により先行して落ち着きますが、X線やCT・MRIなどで確認される骨癒合は、よりゆっくりとしたペースで進みます。そのため、痛みだけを指標に運動を再開すると、分離部に再びストレスが加わり、治癒が遅れるだけでなく再発を招くこともあります。

□リハビリやセルフケアを中断すると再発率が高まる理由

腰椎分離症は再発しやすい疾患のひとつとして知られています。その背景には、痛みが消えた段階でリハビリやセルフケアを自己判断で終了してしまうケースが時折おられます。医師の運動再開の許可を待たずに競技復帰してしまい骨癒合前に負荷をかけてしまう事、分離症を呈した腰椎に負担をかける理由となる姿勢や動作の癖が改善していない事、腰椎を安定する体幹深層筋(インナーマッスル)の機能不全が残存している事、このような状態で活動量を増やすと、分離部に再度ストレスが集中し、症状の再燃を招きやすくなります。特に成長期の選手では部活動のスケジュールがタイトで、復帰を急ぐあまり再発しやすい傾向があり注意が必要です。

□ フィジオセンターが提供するサポート

痛みが軽減した後こそ、医療機関の医師の指示に沿って適切な段階を踏んだリハビリが最も重要になります。フィジオセンターでは、以下のようなアプローチで再発予防と安全な競技復帰をサポートしています。

1つ目は、体幹深層筋(インナーマッスル)機能の再教育です。腰椎分離部の安定性に直結するこれらの多裂筋や腹横筋の筋活動を、徒手による触診やその他の機器のフィードバックを用いながら正しく確認して、スポーツ動作へつながるよう段階的に負荷を調整します。

2つ目は、胸郭・胸椎・股関節・骨盤を含めた全身的なアライメント調整です。腰椎だけでなく、全身的なアライメントや位置関係を確認して、腰椎へのストレスを最小限にする身体機能へのアプローチを行います。

3つ目は、スポーツ復帰までの負荷管理と動作指導です。競技特性に応じて、走行フォーム、ジャンプ着地、スイング動作などを細かく分析し、再発予防に向けた動作最適化を行います。

    □ まとめ

    腰椎分離症では、痛みの軽減は治癒の終わりではなく、通過点となります。骨癒合、体幹深層筋の活性化、アライメント・姿勢改善、競技動作の再獲得といったプロセスを踏むことで、初めて安全な復帰と再発予防が可能になります。

    医療機関を受診して腰椎分離症と診断された方や、その疑いがありながらも医療機関での外来リハビリテーションが受けられない方、保険制度上リハビリが終了してしまった方、部活動と両立しながら腰椎への負担を軽減する目的でのリハビリテーションをご希望の方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。

    理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
    Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
    日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
    BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
    津田 泰志

    フィジオセンター
    TEL:03-6402-7755

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