腰椎分離症のコルセットの役割と使用のポイント

腰椎分離症のコルセットの役割と使用のポイント

腰椎分離症の治療で保存療法が選択される場合、医師の診断・判断の元にスポーツ活動の制限やリハビリテーションと並行して、コルセットの使用が大きな役割を果たします。しかし「コルセット=固定する道具」という認識が先行してしまい、その本来の目的や、どのように使用する事が重要か十分に理解されていないケースも少なくありません。本日のブログでは、腰椎分離症におけるコルセットの役割と、使用時に押さえておきたいポイントについて整理します。

□ コルセットは何のために使うのか

腰椎分離症は、腰椎に繰り返しストレスが加わることで生じる疲労骨折であり、特に初期〜進行期では骨癒合が期待できるため、分離を起こしている部分へのメカニカルストレスの管理が治療において重要です。そのような中、コルセットが果たす役割は、単なる「固定」だけではなく、主に以下の2点にあります。

1つ目は、分離部の過度な運動を抑える事です。体幹伸展(反る動き)や回旋動作(捻る動き)などで関節面に負担がかかるため、コルセットにより不必要な腰椎の動きを制限し、骨癒合しやすい環境をつくることが目的です。

2つ目は、痛みの軽減を図る事です。急性期や活動時に痛みが強い出現する場合でも、コルセットにより安定性が向上することで、痛みが軽減され日常生活がスムーズに行えるようになります。

□ どんなコルセットが使われるのか

腰椎分離症では、医師の判断の元で一般的に以下のような装具が用いられます。

1.ソフトタイプ:比較的柔らかい素材で作られ、軽度の安定性を確保するタイプ。日常生活でのサポートや、症状が軽いケースで使用されることがあります。

2. ハードタイプ:プラスチック素材を一部に使用し、腰椎の動きをよりしっかり抑制するタイプです。初期〜進行期の骨癒合を積極的に目指す場合は、より固定力の高い装具が選択されることが多いと言われています。

3.カスタムメイドタイプ:採型し、身体に完全にフィットする形で作成するタイプになります。より強い固定が必要となる場合に使用される事があります。

□ コルセット使用のポイント

1つ目は、指示された時間・期間を守る事です。コルセットはやみくもに着用すれば良いというものではなく、医師が示した使用期間・時間を守ることが最も重要です。時折、競技復帰を焦るあまり、医師の指示に沿わない形で自己判断でコルセットの使用を止めてしまうケースがおられます。この場合、骨癒合が得らないばかりか、症状の増悪招いてしまう可能性が高まります。

2つ目は、正しく着用する事です。使用している選手の着用方法を確認すると、着用する高さや締めかたが不適切な場合がみられます。医療機関での説明や説明書に沿った形での着用が必要です。

□フィジオセンターで行う事のできるサポートについてまとめ

フィジオセンターでは、コルセットを適切に使用しながら治癒を最大化し、復帰後に再発しない身体づくりをサポートしています。

1つ目は、装着方法・効果的な使い方の指導です。医師の指示に沿った形で、使用するタイミング、装着位置、締め付けの強さなどを細かく確認して、適切な使用を促します。

2つ目は、体幹深層筋(インナーマッスル)のエクササイズの実施です。コルセットを使用している間でも、腰椎の安定性に関連の深い、多裂筋・腹横筋の働きを維持・改善するトレーニングは実施が可能な場合が多いです。そのため、分離を呈している腰椎の運動を伴わない形でのエクセルファイルを提案します。

3つ目は、姿勢やアライメントの調整です。コルセットで動きを制限しても、腰椎への負担の原因となる、姿勢の癖が改善しなければコルセットを外した後の負担は減りません。詳細な姿勢評価を行い、腰椎の上下にある胸郭や胸椎・骨盤の位置関係を整えることで、腰椎へのストレスを全身からみて軽減します。

□ まとめ

腰椎分離症におけるコルセットの役割は、単なる固定ではなく、分離部へのストレスを最小限にし、安静の質を高め、骨癒合を促すための重要な治療手段です。正しい装着方法と適切な使用期間を守ることで、治癒の確率が高まり、復帰後の再発予防にもつながります。

医療機関を受診して腰椎分離症と診断された方や、その疑いがありながらも医療機関での外来リハビリテーションが受けられない方、保険制度上リハビリが終了してしまった方、部活動と両立しながら腰椎への負担を軽減する目的でのリハビリテーションをご希望の方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

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