変形性股関節症の関節包の役割と可動域制限との関係

変形性股関節症の関節包の役割と可動域制限との関係


これまでフィジオセンターのブログでは、変形性股関節症をお持ちの方に向けて、歩行フォームや杖・ノルディックウォーキングポールの活用、歩数の調整など、日常生活での動きと股関節の関係について解説してきました。

本日のブログでは、クライアントの方からご質問をいただくことの多い、「股関節の動きが硬くなる原因」や「可動域制限が起こるメカニズム」について、関節包(かんせつほう)という組織に注目し、最新の研究結果を交えて解説します。

・関節包とは?

    股関節は「大腿骨頭(だいたいこっとう)」と「寛骨臼(かんこつきゅう)」からなる球関節で、この関節全体を関節包と呼ばれる丈夫な膜がすっぽりと包んでいます。関節包は、関節を保護するだけでなく、次のような役割を果たしています。

    1つ目は関節の安定性を保つ役割です。関節包は腸骨大腿靱帯・坐骨大腿靱帯などと一体化しており、股関節の動きを適切に制御します。

    2つ目は関節液を保持する機能です。関節包の内側は関節液で満たされており、摩擦を減らし、スムーズな動きをサポートします。

    3つ目は感覚センサーとして働く役割です。関節包には神経が豊富に分布しており、関節の位置や動きを脳に伝えます。

    このように関節包は、股関節の「安定」と「動きやすさ」の両方を支える重要な組織です。

    変形性股関節症で起きる関節包の変化

      変形性股関節症では、関節の内部で炎症や負担が繰り返されることで、関節包にも次のような変化が起こります。

      1つ目は、関節包の肥厚です。炎症の影響で関節包が分厚くなり、伸びにくくなります。健康な股関節では関節包の厚みは平均約5.0mmですが、変形性股関節症をお持ちの方の関節包では、より厚くなるケースが多いと報告されています。

      2つ目は、 関節包の線維化です。慢性的な炎症や負荷により、関節包の柔らかい組織が硬い線維に置き換わり、伸縮性が失われます。

      3つ目は関節包の短縮です。肥厚や線維化が進むと関節包が縮んだ状態で固まり、股関節の可動域がさらに狭くなる傾向があります。特に内旋(足を内側に回す動き)や伸展(足が後方へ延びる動き)で制限が強く出やすいのが特徴です。

      これらの変化により、しゃがむ・あぐらをかく・靴下を履くといった日常生活動作が難しくなることがあります。

      フィジオセンターでのサポート内容

      フィジオセンターでは、変形性股関節症をお持ちの方に対して、関節包の柔軟性を高め、可動域を保つことを目的にした施術や運動指導を行っています。具体的には、関節包の柔軟性を保つ目的で、股関節に負担が少ない環境下でのモビライゼーションやリリースの実施、関節包の循環を促す目的でのリラクゼーションや負荷の少ないエクササイズの実施、関節裂隙(関節の隙間)を広げる事を促すセルフエクササイズを行う事で、柔軟性改善を図ります。

      当センターでは変形性股関節症をお持ちの方で、医療機関での外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、股関節への負担を出来るだけ軽減するための、包括的なサポートを行っております。

      ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
      どうぞよろしくお願いいたします。

      理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
      Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
      LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
      津田 泰志

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