変形性股関節症をお持ちの方では、股関節単独の機能障害だけでなく、脊椎(特に腰椎)、骨盤、股関節が連動する動作パターンの破綻が、痛みや可動域制限、歩行障害の要因となることが近年の研究で明らかになってきています。立位姿勢、歩行、立ち上がり、階段昇降などの日常動作において、脊椎—骨盤—股関節は一体として協調的に動作しており、その協調性が失われることで股関節周囲だけでなく腰部や膝関節への二次的負担が増大します。本日ブログでは、最脊椎—骨盤—股関節連動について解説します。
□脊椎—骨盤—股関節の連動性とは何か
脊椎—骨盤—股関節連動とは、立位や歩行などの動作中に、腰椎の屈曲・伸展、骨盤の前傾・後傾、股関節の屈曲・伸展が協調して働くメカニズムを指します。例えば、前屈動作では股関節屈曲に伴い骨盤は前傾し、腰椎は屈曲します。逆に、後屈動作では腰椎伸展と骨盤後傾、股関節伸展が同時に起こる必要があります。この協調性が保たれていることで、動作時の関節可動域を確保し、局所的な負担を分散することができます。
変形性股関節症をお持ちの方における問題点は、この連動性が崩れることにあります。股関節の関節可動域が制限されると、骨盤や腰椎が代償的に過剰に動き、結果的に脊椎—骨盤アライメントが乱れます。このような代償動作は、慢性的な腰痛や膝関節痛を引き起こすリスクを高めます。
□変形性股関節症における連動性の破綻
変形性股関節症をお持ちの方では、関節包の線維化や筋の短縮、痛みにより、骨盤の前傾・後傾の自由度が低下しやすくなります。特に立脚後期では、股関節の伸展可動域が足りない場合、骨盤を後方回旋させて代償します。こうした代償は歩幅の縮小や推進力低下を招くだけでなく、腰椎の過伸展を誘発し、腰部や膝関節への負担を増大させます。
□動きの観察のポイント
脊椎—骨盤—股関節の連動性を評価する際には、以下の点を総合的に確認します。
・立位と仰臥位での骨盤傾斜角と脊椎のアライメント
・股関節屈曲および伸展可動域の関節可動域評価
・腰椎前弯の角度変化と可動性
・前屈・後屈時の股関節・脊椎・骨盤の協調パターン
・歩行時の立脚後期における骨盤回旋と股関節伸展のタイミング
□フィジオセンターでのアプローチ
フィジオセンターでは、脊椎—骨盤—股関節の連動性を重視したコンディショニングを提供しています。例となるアプローチは以下の内容となります。
1つ目は、骨盤と腰椎の柔軟性改善です。骨盤前傾・後傾エクササイズを座位や四つ這いで実施し、骨盤と腰椎の可動性を高めます。さらにCat & Dogなどで腰椎の屈曲・伸展を促し、骨盤と腰椎の協調運動を改善します。
2つ目は、股関節周囲筋の協調的トレーニングです。大殿筋、中殿筋、腸腰筋などの筋群をバランスよく強化します。ブリッジエクササイズでは股関節と膝関節の角度を調整し、ハムストリングス優位のパターンを回避して大殿筋の活動を促します。
3つ目は、動作と歩行パターンの再教育です。立ち上がりや階段昇降などの日常動作の中で、脊椎—骨盤—股関節が自然に協調できるように指導します。特に立脚後期の股関節伸展を確保し、過剰な体幹前傾や腰椎の過伸展を防ぎます。
□まとめ
変形性股関節症では、股関節単独の治療だけでは不十分であり、脊椎—骨盤—股関節全体の連動性を再構築することが重要です。フィジオセンターでは変形性股関節症や股関節関節唇損傷、大腿骨寛骨臼インピンジメントをお持ちの方で、医療機関での外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、股関節への負担を出来るだけ軽減するための、包括的なサポートを行っております。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
TEL 03-6402-7755
津田 泰志