側弯症矯正手術(脊柱固定術)後に大切なリハビリテーション 「固定部位への負担を減らし、固定されていない部分の脊柱を守るために」

側弯症矯正手術(脊柱固定術)後に大切なリハビリテーション 「固定部位への負担を減らし、固定されていない部分の脊柱を守るために」

脊柱固定術のあと、多くの方は「背骨を支える筋肉が弱くなった」「腰や背中にこわばりを感じる」といった変化を経験します。これは手術によって固定された部分だけでなく、固定されていない部分の脊柱にかかる負担が増えることも一因です。

そのため、術後のリハビリテーションでは

  1. 固定部位への余計な負担を軽減すること
  2. 固定されていない部分を安定させること
  3. 体幹全体の安定性を高めること

この3つを目的に、深層筋(多裂筋・腹横筋・骨盤底筋群など)の機能を回復・向上させることが非常に重要です。

特に重要な深層筋

  • 多裂筋(multifidus)
     固定されていない椎骨ごとの動きを制御し、脊柱全体の「ぐらつき」を防ぐ。
  • 腹横筋(transversus abdominis)
     体幹をコルセットのように締め、腹圧を高めて固定部・非固定部の両方を支える。
  • 骨盤底筋群(pelvic floor muscles)
     腹横筋や横隔膜と連動し、体幹を“筒”として下から安定させる。

リハビリのステップ

1. 初期:深層筋を「感じて」動かす
術後すぐは無理をせず、まず深層筋がどこでどう働くかを再認識。

2. エコーでフィードバック
視覚的に確認して正しい収縮パターンを学ぶ。

3. 漸進的に全身運動へ
四つ這いや座位での体幹運動 → 立位での軽い負荷 → 歩行や階段での安定練習。

4. 日常動作に統合
立ち上がる・座るなどの日常動作で深層筋を自然に使う習慣を身につける。

なぜ「固定されていない部分」の安定性が大切か

固定術によって背骨の一部は安定しますが、その分、動きを担うのは固定されていない部分になります。ここが不安定だと痛みや再手術のリスクにつながるため、深層筋の再教育と安定化が欠かせません。

安心して復帰するために

脊柱固定術後は「背骨を金属で支える」だけではなく、残された脊柱を筋肉で守ることが回復のカギです。深層筋を使えるように育てていくことが、日常生活のしやすさと将来的な背骨の健康を支えます。手術をお受けになった後(またはこれから矯正手術をお考えの方)、運動療法(エクササイズ)を専門家にご希望の場合は、ドイツ公認の側弯症専門理学療法士(シュロス側弯症セラピスト)の在籍するフィジオセンターにご相談下さい。

東京慈恵医科大学病院E棟2階 フィジオセンター

お問い合わせ先:info@physiocenter.jp

電話:03-6402-7755

理学療法士:大田(シュロス側弯症セラピスト)

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