パーキンソン病の無動に対する運動療法アプローチ

パーキンソン病の無動に対する運動療法アプローチ

パーキンソン病をお持ちのクライアント様やご家族様から、
「動こうと思っても身体が反応しない」
「最初の一歩がなかなか出ない」
といったご相談を受けることがあります。

これらの症状の背景にある代表的な運動症状が無動です。無動は、日常生活動作や歩行、外出機会に大きく影響し、生活の質を低下させる要因となります。

今回のブログでは、無動が起こる仕組みを整理しながら、日常動作の改善につながる運動療法アプローチについて解説します。


1.無動とは何か?

無動とは、自発的な動作の開始が困難になる状態を指します。実際には「動き出せない」「途中で止まる」といった特徴を持ちます。

日常生活の動作場面では、

・椅子から立ち上がろうとして動作が止まる
・歩き始めや方向転換で足が出なくなる
・着替えの動作やトイレ動作で動作が中断する

といった場面で顕在化します。

無動が持続すると、

・活動量の低下
・転倒リスクの増加
・動作に対する不安や自信喪失

といった二次的な問題を引き起こす事があります。


ヤール分類との関係

無動は、ヤールⅠ度からⅡ度の比較的早期から出現することが多い症状です。初期には
「最近、動き始めが遅い」
「動作に時間がかかるようになった」
といった軽度な変化として現れます。

ヤールⅢ度以降では、姿勢反射障害やすくみ足などの他の症状と重なる事で、歩行や日常生活動作への影響がより顕著になります。


2.なぜ無動が起こるのか?

無動の背景には、大脳基底核における運動開始・運動選択機能の障害があります。

① 内発的運動の障害

本来、人は「動こう」と思うだけで自然に運動を開始できます。しかしパーキンソン病では、この内発的運動生成が低下する事でし、意思だけでは動作を開始しにくくなります。

② 注意資源への過剰依存

無動がある方は、動作一つひとつに強い注意を必要とします。そのため、複数の動作や環境の変化などが重なると、動作が停止しやすくなります。


3.薬物療法と運動療法の組み合わせの重要性

L-ドパ製剤などの抗パーキンソン病薬は、無動に対しての有効性を示します。この内服に加えて、

・動作開始の工夫
・動作の大きさや持続性
・生活場面での再現性

といった要素を運動療法によって加える事で、より効果が期待できます。


4.科学的根拠に基づいた運動療法アプローチ

フィジオセンターでは、無動に対して以下の3つの視点を重視したリハビリテーションを行っています。

① 外的キューによる運動開始の促通

無動は内発的運動が困難な一方、視覚・聴覚などの外的刺激には反応しやすい特徴があります。
床の目印、リズム音、言語的合図などを活用し、運動開始を引き出します。

② 大きな動作の再学習

無動があると動作が小さくなり、さらに動きにくさが助長されます。
LSVT® BIGの概念を応用し、「大きく・意識的に」動く練習を行うことで、運動プログラムの再学習を促します。

③ 日常生活動作への段階的応用

練習環境だけでなく、立ち上がり、方向転換、歩行、更衣など、実際の日常生活場面に近い課題を段階的に設定し、再現性の高い運動療法を行います。


まとめ

無動は、パーキンソン病において早期から出現し、生活の質に大きく影響する症状です。しかし、適切な評価と運動療法を継続することで、動作開始のしやすさや日常動作の安定性に対してアプローチを行います。

「動こうとしても身体が出てこない」
「リハビリをしているが変化を感じにくい」

そのようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、専門的な評価と運動指導をご検討ください。
フィジオセンターでは、症状や生活背景に合わせたオーダーメイドのリハビリテーションを提供しています。


理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

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