パーキンソン病をお持ちのクライアント様やご家族様から、多く寄せられるお悩みの一つに、「身体が常にこわばっている感じがする」、「動き始めが重く、スムーズに身体が動かない」、といった筋固縮に関する訴えがあります。
筋固縮は、パーキンソン病の4大症状の一つとして知られていますが、単なる「筋肉の硬さ」ではなく、神経系の異常によって生じる運動制御の問題が背景にあります。そのため、薬物療法だけでなく、適切な運動療法を組み合わせることが重要です。
今回のブログでは、筋固縮が起こるメカニズムを整理しながら、日常生活動作の改善につながる運動療法アプローチについて解説します。
1. 筋固縮とは何か?
筋固縮とは、関節を他動的に動かした際に、一定の抵抗感が持続的に感じられる状態を指します。パーキンソン病をお持ちの方では、屈筋・伸筋の両方が同時に過剰収縮することで、関節の動きが滑らかに行えなくなります。
この抵抗は、動かす速度に関係なく一定であることが特徴で、「鉛管様固縮」と表現されます。
筋固縮が進行すると、
・関節可動域の低下
・姿勢の崩れ(前屈姿勢・体幹回旋の減少)
・動作のぎこちなさや疲労感の増大
といった二次的な問題を引き起こします。
ヤール分類との関係
筋固縮は、ヤールⅠ度から出現する代表的な初期症状の一つです。初期には「片側の腕が動かしづらい」「肩や首が張る感じがする」といった軽度な違和感として現れることが多く、進行に伴い体幹や下肢へと広がっていきます。
ヤールⅢ度以降では、筋固縮が姿勢制御や歩行能力にも影響を与え、動作全体のパフォーマンス低下につながるケースが少なくありません。
2. なぜ筋固縮が起こるのか?
筋固縮の背景には、大脳基底核における運動調節機能の障害があります。
① 相反抑制の低下
本来、関節を動かす際には、主動筋が働くと拮抗筋は抑制されます(相反抑制)。しかしパーキンソン病では、この抑制機構が低下し、両者が同時に緊張してしまうため、動きが硬くなります。
② 運動単位の過剰活動
安静時であっても筋活動が過剰になりやすく、リラックスすべき場面でも筋緊張が抜けにくい状態が続きます。これが「常に力が入っている感じ」として自覚される原因です。
3. 薬物療法と運動療法の組み合わせの重要性
L-ドパ製剤などの抗パーキンソン病薬は、筋固縮に対して一定の改善効果を示します。しかし、以下の症状には薬物療法に運動療法(リハビリテーション)を組み合わせる事が重要です。
・関節可動域の制限
・姿勢・動作パターンの崩れ
・二次的な筋・軟部組織の短縮
4. 科学的根拠に基づいた運動療法のアプローチ
フィジオセンターでは、筋固縮に対して以下の3つの視点を重視したリハビリテーションを行っています。
① 関節可動域と体幹回旋の改善
筋固縮は末梢だけでなく、体幹の動きを制限します。特に胸郭・骨盤の回旋可動性を高めることで、歩行などの動きの滑らかさを引き出します。
② リズム運動・反復運動による筋緊張調整
一定のリズムで行う運動は、大脳基底核を介した運動制御を促通し、過剰な筋緊張の抑制に有効です。歩行練習や立位でのバランスエクササイズを、テンポを意識して行います。
③ 大きな動作の再学習(LSVT® BIGの概念)
筋固縮があると動作が小さくなりやすく、結果としてさらに筋緊張が高まります。意図的に「大きく・ゆっくり・正確に」動かす練習を行うことで、可動域の拡大と固縮の軽減を図ります。
まとめ
筋固縮は、パーキンソン病において早期から出現し、放置すると姿勢・動作・歩行に大きな影響を及ぼします。しかし、適切な運動療法を継続することで、動かしやすさの改善や進行の抑制が期待できる症状でもあります。
「身体が硬くて動くのがつらい」
「リハビリをしているが、効果を実感しにくい」
そのようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、専門的な評価と運動指導をご検討ください。フィジオセンターでは、症状・生活背景に合わせたオーダーメイドのリハビリテーションプログラムをご提案しています。
理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志
フィジオセンター
TEL:03-6402-7755