変形性股関節症と骨盤非対称性の関係について

変形性股関節症と骨盤非対称性の関係について

股関節は骨盤と大腿骨頭から構成される関節であり、体重支持と可動性の両方を担う重要な役割を果たしています。変形性股関節症では関節軟骨の変性や関節裂隙の狭小化が進行し、痛みや可動域制限といった症状が現れます。その過程において「骨盤の非対称性」が関与していることが少なくありません。

本日のブログでは、骨盤非対称性の特徴と変形性股関節症との関連性、そしてフィジオセンターで実施している施術・コンディショニングについて解説いたします。

□ 骨盤非対称性とは

骨盤非対称性とは、骨盤が左右で異なる傾きや回旋を示す状態を指します。主に以下のような形で現れます。

1つ目は、前後傾の差です。片側の寛骨が前傾し、反対側が後傾している場合、股関節の可動性や荷重分布、左右への体重移動にに不均衡が生じます。

2つ目は、左右の高低差です。骨盤の左右の高さが異なることで、大腿骨頭に対する骨盤の臼蓋の向きに影響が及び、関節面の接触面積を示す臼蓋被覆に差が生じ、一側の股関節に加わるストレスが増加します。

3つ目は、回旋の差です。骨盤が左右で前方あるいは後方に回旋することで、股関節の内旋・外旋の動きやすさに影響します。

これらの非対称性は日常生活動作の繰り返しや姿勢習慣、筋肉のアンバランス、股関節付近に生じる疼痛、変形性股関節症の発症や進行を助長する要因となり得ます。

□ 骨盤非対称性と変形性股関節症の症状との関連

1つは、痛みとの関係です。骨盤が非対称になると、荷重が一側に集中しやすくなります。その結果、軟骨下骨や関節包にストレスが加わり痛みが出やすくなります。特に「歩き始めの痛み」や「長時間立位での痛み」は骨盤位置の影響を強く受けます。

2つ目は、可動域制限との関係です。骨盤の前傾・後傾の差がある場合、股関節が元々発育性股関節形成不全などの不安定症がある側が骨盤が前傾する事が多いと考えています。この左右差が大きくなると、経験上体幹の深層筋の機能が低下し易い事や、股関節のインナーマッスルの機能が低下し易い印象があります。

□ フィジオセンターでのアプローチ

フィジオセンターでは、骨盤非対称性と変形性股関節症の関連を多角的に評価し、以下のような運動療法を行っています。

1つ目は、骨盤位置の評価と修正エクササイズです。骨盤の前後傾・側方傾斜・回旋を詳細に評価し、左右差が大きい場合は修正を目的としたエクササイズを処方します。具体的には、骨盤前傾を是正する場合は、大腿直筋や大腿筋膜張筋のストレッチ、後傾を促す大殿筋の強化を行います。反対に過剰な後傾を抑制する場合は、短縮し易いハムストリングスのストレッチやリリースを行い、骨盤の前傾を促す腸腰筋のエクササイズを実施します。

2つ目は、骨盤非対称性を抑制する目的で行う体幹インナーマッスルのエクササイズです。股関節の筋バランスを整えた後は安定した骨盤帯や腰椎の作用を得るために、腹横筋や腰部の多裂筋を中心にエクササイズを実施します。これらの機能が改善する事で、骨盤非対称性を抑制して股関節の機能を発揮し易い環境を作ります。

□ まとめ

骨盤非対称性は、変形性股関節症の痛みや可動域制限の背景に存在する重要な因子です。骨盤の左右差が股関節の動きや荷重分布を変化させ、症状の進行を助長することがあります。

フィジオセンターでは、骨盤の非対称性や股関節の位置関係を評価し、姿勢・課題となる動作・筋肉のバランス・生活環境の多角的な視点からサポートを行っています。医療機関で外来リハビリテーションを受けられない方や、保険制度上リハビリが終了してしまった方、並行して追加のリハビリを希望される方に向けて、症状の進行を少しでも抑え、生活の質を高めるための包括的なアプローチを提供しています。

ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15

TEL 03-6402-7755

津田 泰志

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