変形性股関節症における関節可動域制限と歩行速度の関係について

変形性股関節症における関節可動域制限と歩行速度の関係について

股関節は、骨盤と大腿骨頭によって構成される球関節であり、立位・歩行・階段動作など、日常生活のあらゆる基本動作に関わる重要な関節です。変形性股関節症をお持ちの方の場合では、軟骨の変性や骨棘形成、関節裂隙の狭小化が進行することで関節可動域が制限され、歩行速度が徐々に低下していきます。

本日のブログでは、この関節可動域制限と歩行速度低下の関係について、そのメカニズムと臨床的なアプローチを解説いたします。

股関節は、骨盤と大腿骨頭によって構成される球関節であり、立位・歩行・階段動作など、日常生活のあらゆる基本動作に関わる重要な関節です。変形性股関節症をお持ちの方の場合、軟骨の変性や骨棘形成、関節裂隙の狭小化が進行することで関節可動域が制限され、歩行速度が徐々に低下していきます。

本日のブログでは、この関節可動域制限と歩行速度低下の関係について、そのメカニズムとフィジオセンターで行う事の多いアプローチを解説いたします。

□ 股関節の関節可動域制限とは

関節可動域制限とは、股関節の動かせる角度が減少し、関節運動が制限された状態を指します。
変形性股関節症では、以下のような運動方向で制限が出やすくなります。

1つ目は、伸展(大腿部が骨盤に対して後方への動き)の制限です。歩行で足が床面に接地している後方のタイミングでは股関節の伸展が必要ですが、関節包前面や腸腰筋の短縮、などによりこの動作が妨げられます。この股関節伸展可動域が低下すると、蹴り出し動作が不十分となり、歩行速度が低下してしまいます。

2つ目は、内旋(大腿部が骨盤に対して内側へ捻る動き)の制限です。こちらも、変形性股関節症の初期段階からみられやすい所見です。関節裂隙の狭小化や股関節外旋筋の短縮により、内旋の可動域が低下します。内旋制限が生じると、歩行時の骨盤回旋が減少し、歩幅が狭くなりやすくなります。

このような股関節の関節可動域の制限は、単に特定の方向の動きが小さくなるだけでなく、歩行の際には骨盤の動きや、歩幅、荷重パターンにも影響を与える事で、結果的に歩行速度低下を引き起こします。以下により詳細な解説を記載します。

□ 関節可動域制限が歩行速度に影響するメカニズム
①歩幅の減少:
股関節伸展可動域の制限は、歩行で足が床面に接地している後方のタイミングに必要な蹴り出しを妨げます。正常歩行では、股関節が約10〜15°伸展することで次の一歩を前方に送り出しますが、股関節の関節可動域が制限されると歩幅が短縮し、結果として歩行速度が低下します。

②骨盤回旋運動の制限:
股関節の内旋関節可動域制限があると、歩行時の骨盤回旋が減少します。骨盤回旋は歩行中の推進効率を高める重要な役割があります。そのため骨盤回旋運動の制限は体幹の回旋代償や上半身の揺れを引き起こし、効率的な歩行を妨げます。

③ 筋活動のタイミング異常:
股関節の可動域制限によって、中殿筋・腸腰筋・大殿筋などの活動タイミングが乱れます。特に中殿筋や股関節外転筋の働くタイミングの遅延や活動低下は骨盤の安定性を損ない、立脚期時間が短くなり、速度低下につながります。

□ フィジオセンターでのアプローチ

フィジオセンターでは、関節可動域制限の原因を構造的・機能的に評価し、歩行速度改善を目的とした包括的アプローチを行っています。

1つ目は、 股関節の関節可動域制限の軽減です。短縮の起こりやすい、腸腰筋や大腿直筋、大腿筋膜張筋に対して周辺の軟部組織を含めて、固さのある組織にリリースやストレッチを行い、固さを緩和します。

2つ目は、筋活動の再教育です。特に働くタイミングが低下しやすい筋肉に対して、どのような修正が働く筋肉のタイミングを適切に促す事ができるかを検討します。例を挙げると、体幹のインナーマッスルの機能を先行してから、股関節の筋群の運動を行う事、歩行にフォーカスする場合は足部のエクササイズを先に行い、股関節の筋活動が適切に得られやすくなるように促します。

□ まとめ

変形性股関節症をおもちの方における歩行速度低下は、関節可動域制限・筋活動の不均衡・骨盤回旋運動の制限といった複数の要因が相互に影響して生じます。特に股関節の伸展・内旋可動域制限は、歩行効率を著しく低下させ、日常生活の活動性(ADL)にも影響を及ぼす事が少なくありません。

フィジオセンターでは、股関節の関節可動域が立位姿勢や歩行に与える影響を評価し、姿勢・課題となる動作・筋肉のバランス・生活環境の多角的な視点からサポートを行っています。医療機関で外来リハビリテーションを受けられない方、保険制度上リハビリが終了してしまった方、医療機関とのリハビリテーションと並行して追加のリハビリを希望される方に向けて、症状の進行を少しでも抑え、生活の質を高めるための包括的なアプローチを提供しています。

ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15

TEL 03-6402-7755

津田 泰志

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