厳しい残暑が過ぎ、ここ数日気温が下がってきた事を実感しますが、変形性股関節症をお持ちの方の中には「足先が冷たい」「夜になると脚が冷えて眠りづらい」「お風呂に入ると楽になる」といった訴えをされる方が少なくありません。こうした足元の冷えは、単なる血行不良だけでなく、股関節や骨盤周囲の筋・神経・血流の変化が深く関係しています。
本日のブログでは、変形性股関節症における「冷え」のメカニズムと、その対応方法について解説します。
□ 冷えが起こるメカニズムは、以下の要因が考えられます
1つ目は、筋活動の低下による血流減少です。変形性股関節症では、股関節周囲の筋力低下や活動低下がしばしばみられます。特に股関節周囲の筋群に加えて、第2の心臓と呼ばれる事もある下腿三頭筋の働く機会が減少する事により、筋肉のポンプ作用が弱まる事で末梢血流が滞りやすくなります。これにより、下肢遠位部(足部や足趾)への血液供給が減少し、冷感を感じやすくなります。
2つ目は、自律神経バランスの影響です。慢性的な痛みの継続は交感神経の過活動を引き起こし、末梢血管の収縮を促進します。特に股関節痛が続くと、防御的な反応により筋緊張が高まり血行が低下します。 その結果、「痛み→交感神経緊張→血流低下→冷え」という悪循環が形成されることがあります。
□ 冷えを改善するためのポイント
1つ目は、抹消循環の改善です。足首や足趾の自動運動は、小さな動きながらも下肢の静脈還流を助けます。また、股関節に痛みがなければ、体幹のインナーマッスルを働かせた良い姿勢で行う、つま先立ちの運動も有効です。更に、入浴・足浴・温熱パックなどの温熱療法を併用することで、末梢血管の拡張と代謝改善を期待できます。
2つ目は、生活環境の工夫です。冷えを悪化させる要因には、長時間の同一姿勢や冷気の足部への影響(冷えた硬い床、屋外での座位など)があります。体を温めるだけでなく、動く頻度を増やすことが大切です。出来れば20分~30分に一度は立ち上がって歩く事や、その場での足踏みを行うなど、血流を保つ事が大切です。
□ まとめ
変形性股関節症における「足元の冷え」は、単なる体質ではなく、下肢の筋活動の低下・自律神経の影響など、複数の要因が関与しています。ポイントとなるのは、局所を温めるだけでなく、股関節・体幹・下肢全体を機能的に動かすことです。
フィジオセンターでは、変形性股関節症・発育性股関節形成不全・大腿骨寛骨臼インピンジメントなどをお持ちで、医療機関で外来リハビリテーションを受けられない方や、保険制度上リハビリが終了してしまった方、並行して追加のリハビリを希望される方には、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT®BIG認定セラピスト
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志
フィジオセンター
TEL:03-6402-7755