変形性股関節症と長時間の立位姿勢への影響について

変形性股関節症と長時間の立位姿勢への影響について

変形性股関節症をお持ちの方にとって、「長時間立ち続ける姿勢(立位姿勢)」は股関節へのメカニカルストレスを高め、痛みや疲労を助長する要因となります。特にお仕事や日常生活場面で長時間の立位姿勢を維持する方では、姿勢アライメントや筋機能の影響が大きいため、関節への負担を適切に管理することが重要です。本記事では、国内外の最新研究をもとに、長時間立位時の股関節負荷を軽減するためのポイントを解説します。

□立位姿勢で股関節のメカニカルストレスが増えるメカニズム

股関節屈曲拘縮(股関節の伸展制限:骨盤の前傾方向での固定)や姿勢アライメントの乱れは、静止立位における股関節反力を顕著に増加させることが報告されています。シミュレーション研究では、股関節屈曲拘縮角度が0°から30°に増えると、立位時の関節内に加わる力が約2倍になると示されました。また、別の研究では、反対に骨盤後傾は臼蓋前上方の股関節内の接触圧上昇を引き起こすことが確認され、過度な後傾は避けるべき姿勢とされています。これらの研究から、股関節屈曲拘縮の改善(骨盤前傾方向での固定)・過剰な骨盤の後傾を是正し。骨盤の中間位保持を保つ事が大切な戦略と考えられます。

□フィジオセンターでの具体的な提案について

1つ目は、骨盤アライメントの調整です。先に述べた通り骨盤の中間付近での保持が、股関節へのメカニカルストレスを軽減する上で重要です。そのため、例としてはみぞおち(胸椎)と恥骨を両手でそれぞれ触り、床面からこの2点が垂直線上に保つ事で良いアライメントを確認する事が可能です。

    2つ目は、荷重分散と環境調整です。股関節の負担を軽減する上で例としては、手すりやカウンターに軽く手を添えることで、体幹重量の一部を上肢に分散でき、股関節に加わるメカニカルを軽減します。また、環境的に許される状況の場合は、症状をお持ちの股関節の対側の手に杖を持つ事で、股関節の負担を軽減する事が可能です。

    3つ目は、定期的に体を動かす事です。良いアライメントで立った姿勢であっても、同一姿勢が長時間続く事で、同一筋は股関節の同じ関節面への負担が想定されるため、定期的に足踏みや少し歩くなど定期的な運動を加える事が大切です。

    4つ目は、より良い立位姿勢を保つための筋バランスの調整です。変形性股関節症をお持ちの方の場合、経過と共に特定の筋肉の活動が過剰となり、短くなる事や、体幹の深層筋や股関節のインナーマッスルの機能が低下し筋肉の張りが低下する場合が少なくありません。短くなった筋肉にはリリースやストレッチを行い、筋肉の活動が低下している場合は選択的な筋活動が得られるようなエクササイズを実施して、より良い立位姿勢を保てるように働きかけます。

    □まとめ

    長時間の立位は、股関節屈曲拘縮(骨盤の前傾)や過剰な骨盤後傾は、股関節関節内圧を高める要因となります。国内外の研究では、骨盤中間位の保持・荷重分散・筋機能の再教育が、股関節へのストレス軽減に有効であることが示されています。フィジオセンターでは、こうした科学的根拠に基づく姿勢調整と施術・コンディショニングを組み合わせ、変形性股関節症をお持ちの方にオーダーメイドのご提案を行っております。

    フィジオセンターでは、変形性股関節症・発育性股関節形成不全・大腿骨寛骨臼インピンジメントなどをお持ちで、医療機関で外来リハビリテーションを受けられない方や、保険制度上リハビリが終了してしまった方、並行して追加のリハビリテーションを希望される方には、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。

    理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
    Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT®BIG認定セラピスト
    BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
    津田 泰志

    フィジオセンター
    TEL:03-6402-7755

    一覧に戻る
    完全予約制
    ご予約はこちら