変形性股関節症と足部の内在筋との関係について

変形性股関節症と足部の内在筋との関係について

足部内在筋は、足部の骨に起始・停止を持つ小筋群の総称で、母趾外転筋、短趾屈筋、母趾内転筋、短母趾屈筋、虫様筋などが代表です。これらは内側縦アーチや横アーチの支持、立位・歩行時の足部剛性(足部の固さ)の調整、床反力(床から返ってくる力)の吸収・伝達に関与します。内在筋の機能が低下すると、荷重のかかり方が不均等になりやすくなります。

□ 足部から股関節へ及ぶ影響

足部は床面から考えた場合、足の関節の起点となります。そのため、踵の位置は下腿の位置関係に影響します。下腿の影響は大腿骨に影響し、結果として股関節にも大きく影響します。そのため、足部の不安定性は、骨盤の安定性に重要な中殿筋の働きを阻害しやすく、股関節に関わるストレスに深く関与します。

□ なぜ「足部の安定化」で股関節が楽になるのか

変形性股関節症をお持ちの方のコンディショニングを実施する際に、足部の内在筋の機能を高める事で、股関節のお持ちの症状が軽減する事を経験します。それには、以下のような要素があると考えています。

1つ目は、荷重分散の最適化です。足底での床面に対する調整が上手になると、床反力が膝関節・股関節へ適切な方向に伝達され易くなります。結果として、股関節の特定面への偏ったストレスが軽減します。

2つ目は、骨盤を支える機能の改善です。足部が安定すると、歩行時の立脚相の股関節外転筋群(小殿筋・中殿筋)が働きやくなり、トレンデレンブルグ跛行などの歩行のフォームの乱れが軽減します。

□フィジオセンターで行うアプローチ例について

1つ目は、先に述べた足の内在筋エクササイズです。例としてはショートフットエクササイズで足部のアーチを高める事や、Toe Spread Out(足指を横に開く運動)などを実施し、足部の内在筋を選択的にトレーニングを行う事で、機能の向上を図ります。

2つ目は、立った姿勢でのバランスエクササイズです。選択的なエクササイズの実施で機能を高めた、足部の内在筋の機能を実際の日常生活上での動きに反映させるために、不安定板などを用いたバランスエクササイズの実施や、ステップエクササイズなどを行い、立位姿勢での機能向上を図ります。

□まとめ

変形性股関節症をお持ちの方では、痛みのある部位だけに注目すると見落とされがちな「足部の安定性」が、股関節の負担軽減と動作のスムーズさに関与します。足部内在筋の活性化により、歩行機能の向上や立位姿勢でのバランス機能を高める事が期待できます。

変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちで、医療機関で外来リハビリテーションを受けられない方や、保険制度上リハビリが終了してしまった方、並行して追加のリハビリテーションを希望される方には、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

一覧に戻る
完全予約制
ご予約はこちら