Comparative analysis of Boston and Cheneau braces in treating scoliosis: A 2-year follow-up study on curve reduction
N Am Spine Soc J 2024 Jun 3:19:100337.
思春期特発性側弯症(AIS)の進行を防ぐために、多くの患者が「装具治療」を受けています。今回紹介する研究では、世界的に使われている2種類の装具「ボストン装具」と「シェノー装具」について、どちらがより効果的かを2年間にわたって比較しています。
研究の内容
この研究では、8歳から15歳までの側弯症患者51人を対象に、ボストン装具とシェノー装具の効果を比較。いずれの装具も、毎日16〜17時間ほど装着してもらい、脊柱の曲がり具合(コブ角)を定期的に測定しました。

結果:どちらも有効、明確な差はなし
- どちらの装具でも、初期の湾曲が有意に軽減されたことが確認されました。
- 長期の経過観察でも、矯正効果に統計的な差は見られませんでした。
- 装着時間や使用状況もほぼ同等で、両装具とも高いコンプライアンス(装着率)を維持していました。
装具の選び方における考察
この研究から言えるのは、「効果の面では、ボストン装具もシェノー装具も同等である」ということです。そこで、装具の“使いやすさ”や“生活への影響の少なさ”が、今後の選択肢において重要になってくる可能性があります。
特にシェノー装具は、
- より体にフィットしやすく、目立ちにくいデザイン
- 3次元的に矯正する構造により、自然な動きに対応しやすい
といった利点があります。 - 軽量(約500g~600g)、※ボストン装具:1.2kg~1.5kg
装具の効果が同じであれば、「見た目や快適さ、日常生活のしやすさ」も装具選びの重要な判断材料になるでしょう。特に長期間の治療において、患者本人がストレスを少なく続けられることは、治療の成功にもつながります。
まとめ
この研究は、「どの装具がより優れているか?」というよりも、「効果が同じであれば、生活への負担が少ない装具を選ぶことも有効な判断」という視点を提供してくれます。 装具治療は、継続して取り組むことで成果を得ることができます。その中で、見た目の気になりにくさや装着時の快適さを兼ね備えたシェノー装具の選択肢としての価値が、これからさらに注目されるかもしれません。
フィジオセンターでは、シェノー装具作製の経験豊富な義肢研究所と提携しております。ぜひお問い合わせください。
東京慈恵医科大学病院E棟2階 フィジオセンター
お問い合わせ先:info@physiocenter.jp
電話:03-6402-7755
理学療法士:大田(シュロス側弯症セラピスト)