腰椎分離症の分類と診断基準とは?

腰椎分離症の分類と診断基準とは?

本日のブログでは、スポーツをする学生や若年層に多い腰椎分離症の「分類」と医師が行う「診断基準」について詳しく解説します。腰椎分離症は、腰椎の後方にある椎弓が疲労骨折を起こすことで発生し、成長期の中高生アスリートに特に多くみられます。診断や分類の正確さは、その後の治療方針やリハビリテーションの計画を立てる上で非常に重要です。今回は、代表的な分類方法・診断基準の特徴を、臨床的な視点から整理していきます。

□ 腰椎分離症の概要と好発部位

腰椎分離症とは、腰椎椎弓部に生じる疲労骨折のことを指します。繰り返す腰の反る動き(伸展)や捻り(伸展)の動きによって、椎弓にストレスが蓄積し、骨に微細な亀裂が生じます。好発部位は第5腰椎が最も多く、次いで第4腰椎です。競技別では、野球・サッカー・体操・バレーボール・バスケットボールなど、腰を反る動作、捻る動きが多いスポーツで発症しやすい傾向があります。

□腰椎分離症の分類

腰椎分離症には、発生の時期や骨の状態に基づいたいくつかの分類があります。その中でも臨床でよく使われるのが病期分類と形態分類です。

□病期分類

MRIやCTでの骨の変化をもとに、以下の3段階に分けられます。

・初期:椎弓に微細な骨ストレスが加わり、MRIで骨髄浮腫が確認される段階です。レントゲンでは明確な骨折線が見えないことが多く、MRIが診断の決め手になります。適切な安静と初期対応で、骨癒合が期待できる時期です。

・進行期:繰り返しの負荷で椎弓の連続性が部分的に断たれ始める段階。CT画像では骨折線が確認されます。この段階で早期に治療を行えば、骨癒合が得られる可能性があります。

・末期:骨の分離が完全となり、骨癒合が困難な状態となることがあります。慢性腰痛や分離すべり症を合併することがあります。

□ 診断後の治療とフィジオセンターでのリハビリアプローチ

診断後は、病期や分離の程度に応じた段階的リハビリテーションが重要になります。フィジオセンターでは、以下のような方針で施術と運動療法を行っています。

1つ目は、骨癒合を妨げない安静と姿勢指導です。骨癒合を優先する場合は、医療機関指示に沿って、一定期間の安静とコルセット固定を優先します。主治医からの許可が得られた場合は、姿勢保持筋(腹横筋・多裂筋を中心に)の腰椎の動きを伴わないエクササイズを実施する事があります。

2つ目は、股関節と胸椎の可動域改善です。股関節伸展・内旋や胸椎回旋の制限があると、腰椎にストレスが集中します。これらの関節可動域を改善することで、腰椎分離症を呈した関節面の負担を分散させます。

3つ目は、体幹深層筋エクササイズ(安定化トレーニング)です。腰部多裂筋や腹横筋の再教育を中心に、分離症を起こしている腰椎の動的安定性を高めます。特に分離症を起こしている同じ高さの多裂筋は機能低下を起こしやすく、細かい筋活動の評価とエクサイズの実施が必要です。

□ まとめ

椎分離症は、正確な分類と診断基準の理解によって、治療方針が大きく変わる疾患です。MRIによる早期発見と、病期に応じた適切なコルセットなどを使用した安静を行われれば、骨癒合率の向上が期待できます。最も注意が必要なのが、痛みを我慢して練習を続けてしまい医療機関への受診が遅れてしまう事により、骨癒合が難しくなる事があります。

フィジオセンターでは、医療機関での診断結果に基づき、スポーツ復帰までを見据えた個別リハビリを提案しています。保険診療が終了した後のフォローアップや再発予防のコンディショニングも承っております。お気軽にホームページまたはお電話にてお問い合わせください。

理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

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