側弯症のために脊椎の固定術(矯正手術)を受けた後、患者さんにとって最も大切なのは、安全で効果的なリハビリテーションを受けることです。このリハビリによって術前の生活に少しずつ戻していきます。
術後のリハビリの目的は?
- 早期に日常生活へ戻ること
- 手術部位への負担を避けること
- 筋力と柔軟性を取り戻すこと
基本の考え方
リハビリの内容は、単なる運動ではなく、骨や筋肉、神経の回復メカニズムに基づいて計画されます。たとえば、インプラント(固定用の金属)と骨がしっかり結合する「オッセオインテグレーション」という過程を考慮しなければなりません。これが完成するには数か月かかるため、徐々に運動量を。
リハビリの5つの段階
第1段階:手術前の準備
- 手術後の生活について、医師やリハビリ専門家から説明を受けます。
- 家族も含めて「どんな注意が必要か」を理解しておくことが大切です。
第2段階:手術後(1日目~6週間)
- 入院中に痛みの管理と歩行の練習を行います。
- 無理のない範囲で短い散歩(例:1日3〜4回、5分~)を始めます。
- 背骨を守る正しい起き方・座り方・歩き方を学びます。
第3段階:最大保護期(6~12週間)
- 軽度な体幹のリハビリ(体幹を動かさずに四肢だけを動かすエクササイズを行います)。。
第4段階:最小保護期(3〜6か月)
- レントゲンで骨の癒合が確認できたら、体幹の深層筋を鍛える「コアスタビリゼーション運動」を始めます。
- ウォーキングや水泳など、全身を使う運動が推奨されます。
第5段階:動的回復期(6か月〜1年)
- 段階的により動きの大きい運動を導入。
- 1年経過後には、日常生活や軽スポーツへ復帰できます。
特に重要なことについて
背骨を守るためのルール
- 立ち上がる時は「ひねらず・膝を曲げて」
- 長時間同じ姿勢を避ける(30分ごとに少し歩く)
- 腰を深く曲げる作業や重い荷物を持つのは避ける
- 掃除・アイロン・買い物などは工夫しながら行う
日常生活への復帰
- 仕事や学校は早くて8~12週目以降からが目安。
- 肉体労働や長時間の移動を伴う仕事は、6か月以上の回復期間が必要なことも。
- 体に無理をかけず、徐々に活動時間を増やしましょう。
このように手術前、手術後のリハビリは計画的に段階的に実施されます。
参考文献:
Canbulut N. et al. (2014). Rehabilitation After Surgery of the Spinal Deformity. Turkish Neurosurgery, 24(Suppl 1), 107-114.
フィジオセンターでは、術前術後のリハビリをしっかりサポートさせて頂きます。
東京慈恵医科大学病院E棟2階 フィジオセンター
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理学療法士:大田(シュロス側弯症セラピスト)