手術直後から退院までの入院中リハビリとしては、次のような内容が多く報告されています:
- 起床・ベッドから起き上がる/寝返りや移動の方法(背骨に無理をかけない「ログロール」など)を学ぶ。
- 歩行の開始(少しずつ、短距離から)および立位・座位の練習。
- 日常動作(ADL:着替え・食事・洗顔・移動など)の練習。
- 呼吸訓練・胸郭や背骨周辺の軽い可動性の維持。
これらを通じて、手術部位の回復を妨げずに「動ける身体」「日常生活への復帰可能な身体」へと調整されていきます。
退院後以降のフェーズ(自宅・外来/通院リハビリ)
退院後のリハビリでは、入院中の「動き始め」からさらに一歩進んで、機能回復・筋力強化・全身活動への復帰を目的としたプログラムが展開されます。報告で見られる主要な点を以下に整理します:
フェーズ別の目安と内容
- 6〜12週間(術後1.5〜3か月)
- 固定術・骨癒合の初期段階を考慮しながら、体幹(コア)筋群の軽いトレーニング、姿勢制御、歩行持続時間・距離の増加。
- 過度の回旋・曲げ・荷重は禁止または制限あり。
- 普段の椅子・座位・立位・移動の仕方について、注意すべき動作(低い椅子・ソファ・長時間同一姿勢等)を指導されることが多い。
- 3〜6ヶ月以降(術後3〜6か月)
- 骨の固定・癒合が進んでいる想定のもと、筋力強化・体幹の安定・少しずつ運動量(歩行距離・速度・時間)の増加。
- プール・水中運動・軽めの有酸素運動・エクササイズボールやバンドを用いた運動など、動的な活動が導入されることも。
- スポーツ・激しい活動・荷重動作の復帰は、術式・固定範囲・個人の回復状況によって「6〜12ヶ月」目安。
注意すべきポイント
- 手術部位(固定されたスクリュー・ロッド・骨移植部など)が完全に“安定”するまでは、無理な動作(強いねじり・反らし・重い荷物)は避けましょう。
- 筋力強化とともに「正しい姿勢」「身体の使い方(体幹を使う・背骨を中立に保つ)」が極めて重要です。
- リハビリは「量」ではなく「質」、つまり“正しい動きで・徐々に・自分のペースで”が鍵。焦らないこと。
実際にできる“退院後以降”のリハビリ例
- 朝・晩:ベッドからの起き上がり、座ってから立つまでの動作を意識してゆっくりと。
- 週3回程度:徒歩(屋敷内→屋外)を少しずつ時間・距離増。
- 週2回程度:体幹筋トレ(仰向けで膝を立てて腹筋・骨盤傾斜運動など)を、背中を丸めずに中立姿勢で。
- スポーツや激しい活動を復帰する前に、理学療法士・整形外科医と“許可・進め方”を確認。
まとめ
術後リハビリテーションは、手術直後から退院後、自宅・通院を通じて段階的に進む“マラソン”のような流れです。入院中の「歩く・立つ・日常を始める」段階から、退院後に「筋力アップ・姿勢制御・全身活動への復帰」へ移行し、最終的には“自分らしい生活・活動”へ戻ることが目標となります。
フィジオセンターでは、術前術後のリハビリをしっかりサポートさせて頂きます。
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理学療法士:大田(シュロス側弯症セラピスト)