――スポーツ中の腰痛、その「代表的なサイン」を見逃さないために――
腰椎分離症は、成長期の中高生アスリートに多い「疲労骨折」の一つです。しかし、レントゲン画像・MRI・CTなどの画像診断がつく前段階では、「ただの腰痛」「成長痛だろう」と見過ごされることも少なくありません。 一方で、実際に症状の特徴を知っておくと、「これはちょっと怪しいかも」と早めに気づくきっかけになります。
本日のブログでは、腰椎分離症にみられる代表的な症状を整理し、どのような腰痛が要注意で、医療機関の受診の必要性が高い状態なのかを解説します。
□ 代表的な症状
1つ目は、運動時に強くなる腰痛です。腰椎分離症で最も多い症状が、「運動時に悪化し、安静で軽くなる腰痛」です。例を挙げると、練習の後半や試合後になると腰が痛くなる。数日休むと痛みが軽減するが、しかし再び強度の高い練習を再開すると痛みがぶり返す。このように、活動量と痛みの強さがリンクしている腰痛は、単なる筋肉痛ではなく、骨や関節に繰り返しストレスがかかっているサインかもしれません。
2つ目は、腰椎分離症では、腰椎伸展(腰を反らせる動き)と腰椎の回旋(腰をひねる動き)の組み合わせで、分離を起こす部位に大きな圧縮力が加わる事が報告されています。具体的な動きとしては、バレーボールのサーブやスパイク、サッカーのロングキックやシュート動作、野球では高めのボールを打ちに行くバッティング動作などが挙げられます。
3つ目は、腰の「一点」に限局した痛みです。腰椎分離症の痛みは、腰の片側あるいは中央付近の「ここ!」と指で示せるような局所痛であることが多いです。腰の広い範囲がぼんやり重だるい、というより親指1〜2本分くらいの範囲に集中した痛みに加えて、押すと「そこが痛い」とはっきりするような症状が特徴的です。
□ 早期発見のためのチェックポイント
腰椎分離症を早期に確認するために、次のようなポイントがある場合は医療機関への受診が勧められます。
・中高生アスリートで、2週間以上腰痛が続いている
・特に、後ろに反る動作やジャンプ着地、投球・キック時に痛みが強くなる
・腰の片側または中央の一点を「ここが痛い」と示せる
・練習量に比例して痛みが増減するが、完全には消えない
・休んでも良くならず、「次第にパフォーマンスが落ちてきている」感覚がある
こうした要素が1つもお持ちの場合は、早期の受診が望ましいと考えられています。
□まとめ
腰椎分離症を発症する多く場合、初期のうちは「練習後の腰の痛み」として捉えられがちですが、先に記載した症状のパターンを知っておくことが早期発見の鍵になります。「成長期だから仕方ない」「そのうち慣れる」と我慢を重ねてしまうと、分離症が進行してしまうリスクもあります。
フィジオセンターでは、医療機関での画像検査の結果や医師の診断結果を踏まえながら、腰椎分離症の状態や競技特性に応じたリハビリテーションを行っています。医療機関での腰椎分離症の診断を受けた後に、リハビリテーションの処方がされない場合、外来でのリハビリテーション期限が終了してしまった場合、骨癒合が得られたが再発予防を目的としたコンディショニングを行いたい方は、お気軽にお問い合わせください。
理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志
フィジオセンター
TEL:03-6402-7755