足底のかかと部分に痛みを感じる「足底腱膜炎(Plantar fasciitis)」について、最新の研究と当センターの治療の進め方をわかりやすくご紹介します。症状に悩む方や、治療を始めたばかりの方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
足底腱膜炎とは?
足底腱膜炎は、足の裏にある強靭な腱膜に繰り返しの負荷がかかることで、微細な損傷が生じ、慢性的な痛みが現れる疾患です。近年では「炎症」ではなく、「変性(腱や結合組織の傷み)」と捉える見方も広がっています。
治療の基本は「段階的アプローチ」
治療は、症状の程度や期間に応じて3つのステップで進めるのが一般的です。
第1段階:保存療法(まずはここから)
まずは、日常生活を見直しながら、足底への負担を減らす保存的な治療を行います。
主な方法:
- 足底とふくらはぎのストレッチ
- 支持性のある靴・インソールの使用(フィジオセンターでは、衝撃を減少させるようなインソールを作成します)
- 活動量の調整(完全な安静は避け、段階的に復帰を目指す)
- テーピングなどによる一時的な痛みの軽減(自分で巻ける効果的なテーピング法をお教えいたします)
- 夜間装具やロッカーシューズの併用
ストレッチや筋トレは、可能であれば理学療法士などの専門家の指導を受けながら始めるのが効果的です。この段階で、多くの患者さんが数週間〜数ヶ月のうちに改善すると報告されています。
第2段階:低侵襲性治療(保存療法で改善しない場合)
保存療法を継続しても症状が長引く場合には、次の選択肢に進みます。
主な治療法:
- 体外衝撃波療法(ESWT)
→ 中長期的な改善に効果があり、最も推奨されています。 - PRP療法(多血小板血漿注射)
→ 一部で効果があるとされますが、まだ評価は確立されていません。 - コルチコステロイド注射
→ 短期効果はありますが、繰り返し使用はリスクがあるため注意が必要です。
その他、筋膜リリース、高周波治療、低出力レーザーなども一定の効果が報告されています。
第3段階:外科的治療(ごく一部の難治例)
保存療法や非侵襲的治療でも効果が見られない場合には、以下のような手術療法が検討されます。
- 超音波ガイド下での腱切開
- 経皮的処置
- 足部専門医による外科的手術 など
ただし、この段階に至るのはごく少数のケースです。
治療のカギは「自己管理」と「継続ケア」
治療と並行して、日常生活での自己管理が非常に重要です。
再発を防ぐために:
- 体重管理(足への負担を軽減)
- ストレッチと筋力維持(とくにふくらはぎと足部)
- 正しい靴の選択(クッション性と支持性のある靴を)
- 足の内在筋の柔軟性を高めながらを鍛える
症状が改善したあとも、これらの取り組みを継続することで再発リスクを大幅に減らすことができます。
まとめ です。 足底腱膜炎の治療は「保存療法 → 低侵襲治療 → 外科的介入」という段階的なステップがありますが、ほとんどのケースで、適切な保存療法と日々の自己管理によって改善が期待できます。痛みでお悩みの方、フィジオセンターにご相談ください(無料相談:40分も受け付けております)。
東京慈恵医科大学病院 E棟2階 フィジオセンター
問い合わせ:info@physiocenter.jp
TEL:03-6402-7755
担当:理学療法士 大田