パーキンソン病の姿勢の崩れ(前屈姿勢)への運動療法

パーキンソン病の姿勢の崩れ(前屈姿勢)への運動療法

パーキンソン病をお持ちのクライアント様やご家族様から、「最近、背中が丸くなってきた」「歩いていると前に倒れそうになる」「写真を見ると姿勢が明らかに変わった」といったご相談を受けることがあります。これらは、パーキンソン病に特徴的な姿勢障害(前屈姿勢)による影響である可能性が高く、単なる加齢変化や筋力低下だけでは説明できないケースが少なくありません。

姿勢の崩れは見た目の問題にとどまらず、歩行障害、転倒リスク増大、呼吸機能低下、疲労感の増強など、生活の質に大きく影響します。本日のブログでは、パーキンソン病における前屈姿勢の特徴と背景を整理し、運動療法による介入について解説します。


1.パーキンソン病における前屈姿勢の特徴

パーキンソン病にみられる前屈姿勢は、単なる「猫背」とは異なる病態を含みます。代表的な特徴は以下の通りです。

・体幹全体が前方へ傾く
・頭部前方突出(フォワードヘッド)
・胸椎後弯の増強
・股関節軽度屈曲位での立位・歩行
・姿勢の自己修正が困難

特に重要なのは、視覚的・感覚的な姿勢認知の障害です。パーキンソン病をお持ちの方では、自分の姿勢が崩れていることを正確に認識しにくく、「真っ直ぐ立っているつもりでも実際は前屈している」という乖離が生じやすくなります。


2.前屈姿勢が生じる病態的背景

前屈姿勢の背景には、複数の要因が複雑に関与しています。

・体幹伸筋群の筋活動低下
・体幹屈筋群の過剰緊張
・固縮による関節可動性低下
・姿勢反射障害
・感覚統合機能の低下

近年の研究では、パーキンソン病をお持ちの方はは健常高齢者と比較して、静止立位中の体幹伸筋活動が低下している一方、屈筋群が相対的に優位になることが報告されています。これは筋力の問題だけでなく、中枢神経系における姿勢制御戦略の変化が大きく関与していると考えられています。


3.前屈姿勢が及ぼす身体機能への影響

姿勢の崩れは、さまざまな二次的問題を引き起こします。

・歩行速度低下、歩幅減少
・すくみ足の助長
・方向転換時の不安定性増大
・転倒リスク増加
・呼吸効率低下

特に体幹前屈が強い場合、重心が前方へ偏位し、立位姿勢でのバランスに大きく影響します。その結果、軽微な外乱でもバランスを崩しやすくなり、転倒につながるリスクが高まります。


4.前屈姿勢に対する運動療法のエビデンス

近年、パーキンソン病の姿勢障害に対して、運動療法が有効性が示されてきています。

・体幹伸展運動を含むエクササイズは姿勢アライメントを改善
・外部キュー(視覚・聴覚)を用いたトレーニングは姿勢認知を補正
・高強度・反復的運動は姿勢制御能力を向上

特に、LSVT® BIGをはじめとした大きい振幅運動は、前屈姿勢や動作の小ささを改善する効果が報告されています。
これは、運動の「大きさ」を再学習することで、中枢神経系の運動出力を補正するアプローチです。


5.フィジオセンターにおける運動介入の考え方

フィジオセンターでは、前屈姿勢に対して以下の視点を重視しています。

① 姿勢の評価と動作分析
静止立位だけでなく、歩行・立ち上がり・方向転換時の全身的なアライメントを評価します。

② 体幹伸筋群への選択的アプローチ
脊柱起立筋群、殿筋群を中心に、抗重力活動を促進するためのエクササイズを実施します。

③ 可動性と筋活動のバランス調整
関節可動域制限の生じやすい胸郭・股関節の可動性を確保しつつ、過剰な筋肉の緊張を抑制します。

④ 姿勢と動作を結びつけたトレーニング
「良い姿勢をつくる」だけでなく、「良い姿勢で動く」ことを重視します。


まとめ

パーキンソン病における前屈姿勢は、加齢や筋力低下だけでは説明できない中枢神経系の姿勢制御障害が深く関与しています。

・姿勢が崩れてきた
・歩行時に前に倒れそうになる
・疲れやすくなった

そのような変化を感じた際には、早期からの専門的介入が重要です。フィジオセンターでは、お持ちの症状・生活背景・運動経験を踏まえたオーダーメイドのリハビリテーションを提供しています。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

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