パーキンソン病の体性感覚低下の特徴とエクササイズ方法

パーキンソン病の体性感覚低下の特徴とエクササイズ方法

―「感じにくさ」が動きに及ぼす影響を考える―

パーキンソン病をお持ちの方から、「足の位置が分かりにくい」「しっかり接地している感じがしない」「動いている感覚がわかりにくい」といった訴えを伺うことがあります。これらの背景には、筋力や可動域だけでなく、体性感覚機能の低下が関与している可能性があります。

体性感覚は、私たちが無意識のうちに姿勢や動作を調整するための重要な情報源です。今回のブログでは、パーキンソン病における体性感覚低下の特徴を整理し、運動療法の中でどのようにアプローチすべきかを解説します。


1.体性感覚とは何か

体性感覚とは、主に以下の感覚を含む総称です。

・位置覚(関節位置覚)
・運動覚(動きの感覚)
・圧覚・触覚
・振動覚

これらの感覚は、筋紡錘・腱受容器・皮膚受容器などからの入力として脳を中心とした中枢神経系に伝えられ、姿勢や運動を調整する基盤となっています。


2.パーキンソン病における体性感覚低下の特徴

パーキンソン病では、運動症状に注目が集まりがちですが、近年では体性感覚処理の異常も重要な非運動的要素として注目されています。

① 関節位置覚の精度低下

研究では、パーキンソン病患者において、四肢の位置を正確に再現する能力が低下していることが報告されています。この低下は、筋力低下とは独立して存在する場合もあります。

② 感覚統合の障害

視覚・前庭覚・体性感覚を統合して姿勢や動作を制御する過程において、体性感覚からの入力が低下し、視覚依存が高まる傾向が示されています。

③ 運動フィードバックの不正確さ

動作の結果を感覚として正確に捉えにくくなることで、「動かしているつもり」と「実際の動き」に乖離が生じやすくなります。


3.エビデンスから見る体性感覚と運動機能

近年の研究では、体性感覚機能と運動機能の関連が明確に示されています。

・体性感覚低下は姿勢動揺の増大と関連する
・関節位置覚の誤差が大きいほど歩行変のフォームが乱れやすい
・感覚入力を強調した運動介入により、動作精度が改善する

また、外部刺激(床反力、視覚的目印、触覚刺激)を利用することで、低下した体性感覚を補完できることも報告されています。


4.体性感覚低下に対する運動療法の基本的な考え方

体性感覚低下に対して、「とにかく動かす」「筋力をつける」だけでは十分とは言えません。

重要な視点として、

・感覚に注意を向ける時間を確保する
・動作の速さよりも正確さを重視する
・感覚入力を意図的に強調する

ことが挙げられます。

例えば、
・ゆっくりとした荷重移動
・関節角度を意識しやすい姿勢での運動
・触覚・圧覚を伴う運動課題

これらは、体性感覚を確認していくうえで有効です。


5.フィジオセンターでの実践的アプローチ

フィジオセンターでは、体性感覚低下を「感覚の問題」だけでなく、「運動の質を左右する要因」として捉えています。

評価場面では、

・関節位置覚・荷重感覚の確認
・視覚遮断条件下(目を閉じた)状態での姿勢・動作変化
・感覚と運動出力のズレの有無

を丁寧に確認します。

実際のエクササイズ方法としては、

・足底(足の裏)・関節からの感覚入力を強調した立位練習
・体幹・下肢の位置を確認しながら行う運動
・視覚・触覚・体性感覚を組み合わせた課題設定

を行い、「感じながら動く」体験を積み重ねていきます。

単に回数をこなすのではなく、感覚がどう変化したかを言語化しながら進めることで、再現性の高い運動学習を目指します。


まとめ

パーキンソン病における体性感覚低下は、見逃されやすいものの、姿勢制御や歩行、動作の安定性に大きな影響を及ぼします。体性感覚を意識した運動療法は、運動の「質」を高める重要な鍵となります。

フィジオセンターでは、パーキンソン病に伴う体性感覚低下に対しても、評価から運動療法まで一貫したサポートを行っています。動きにくさや不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください

理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

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