パーキンソン病とエクササイズの頻度について

パーキンソン病とエクササイズの頻度について

「運動は毎日やったほうがいいですか?」パーキンソン病をお持ちの方やご家族様から、よくいただく質問です。インターネットの情報や書籍では「運動が大切」と強調される一方で、「どのくらいの頻度で行えばよいのか」については、具体的な解説が少ない印象があります。

本日のブログでは、パーキンソン病におけるエクササイズの「頻度」に注目して解説します。


1.「たくさん動けば良くなる」は本当か?

まず大切なのは、パーキンソン病は筋肉が弱くなる病気ではないという点です。主な問題は、

  • 大脳基底核を中心とした運動制御ネットワークの機能低下
  • 動作を無意識に引き出す「自動化」の障害

にあります。そのため、重要なのは「どれだけ動いたか」よりも、脳がどのような質の運動情報を、どの頻度で受け取ったかです。


2.エビデンスが示す「運動頻度」の目安

では、研究ではどの程度の頻度のエクササイズの実施が推奨されているのでしょうか。

■ 国際的ガイドライン・レビューの共通点

近年のシステマティックレビューや国際的ガイドラインでは、以下の点が比較的統一して示されています。

・週3〜5回
・1回あたり30〜60分
・中等度以上の運動強度

この頻度で実施する事で、歩行速度、バランス能力、運動症状、生活の質の改善が報告されています。

特にエビデンスレベルが高いとされているのは、

・有酸素運動
・振幅を意識した運動(LSVT® BIG 概念)
・外部キューを用いた課題
・バランス・方向転換を含む機能的トレーニング

です。


■ 「毎日やらなければ意味がない」のか?

重要なのは、「毎日でなければ効果がない」という明確な根拠はないという点です。

多くの研究では「継続」が条件とされていますが、その継続は「無理なく続けられる頻度」であることが前提です。

過度な頻度・強度は、

・中枢性(神経系の)疲労
・動作の質の低下(正しいフォームで行う事が難しい)
・転倒リスクの上昇

につながる可能性があることも、同時に報告されています。


3.頻度を考えるうえで欠かせない3つの視点

① 翌日に悪影響を残さない

運動後に

・動きが重くなる
・すくみが強くなる
・強い疲労が残る

場合、その頻度や内容は適切ではない可能性があります。

② 頻度は「量」ではなく「正しい回数」

30分まとめて行えない日でも、短時間でも「意識して動く」回数を増やすことが、神経学的には有効と考えられています。

③ 生活に溶け込むこと

エクササイズが「義務」になると、継続は困難になります。生活の中で自然に行える頻度こそ、長期的には最も効果的です。


4.フィジオセンターが考える頻度設定の実際

フィジオセンターでは、一律に頻度を決めることはありません。なぜなら、パーキンソン病は同じ診断名でも、その方によって、症状の出現や運動に対する反応が異なり易いためです。


■ 頻度設定の前に必ず行う評価

私たちがまず確認するのは、以下の点です。

・症状の主体(固縮優位、すくみ足優位、姿勢障害など)
・疲労の出やすさ、回復までの時間
・服薬のOn / Off パターン
・生活リズム、仕事・家事との両立

これらを踏まえ、「できる頻度」ではなく「続けられる頻度」を基準に考えます。


■ 頻度は固定しない

フィジオセンターでは、その日の体調に合わせて、ご自宅でのセルフエクササイズも内容を柔軟に変更される事を、おすすめしています。

・調子が良い時期 → 挑戦的な頻度・内容
・体調が不安定な時期 → 維持・安全重視
・生活環境が変わった時 → 再調整

このように、頻度は変えてよいものとして考えます。


■ 「やらない日」も戦略の一部

休養日を設けることは、決して後退ではありません。

・神経系の回復
・学習した運動の定着
・心理的リフレッシュ

これらも、リハビリテーションの重要な要素です。


■ 家での頻度と、専門介入の頻度を分けて考える

フィジオセンターでは、ご自宅でのセルフエクササイズと当センターでのエクササイズの実施内容を

・ご自宅でのセルフエクササイズ:高頻度・低負荷・短時間
・フィジオセンターでの介入:低頻度・中等度の負荷・評価重視

という役割分担を明確にします。

これにより、「何をどれくらいやればいいのか分からない」という不安を減らします。


まとめ

パーキンソン病のエクササイズにおいて大切なのは、「多さ」ではなく「適切さ」です。エビデンスに基づいた目安を知る。自分の体調・生活に合わせて調整する。この視点が、長期的な機能維持につながります。

「今の頻度が合っているのか分からない」
「増やすべきか、休むべきか迷っている」

そう感じたときは、ぜひフィジオセンターにご相談ください。その方にとって最適な「運動との付き合い方」を、当センターのスタッフが一緒に確認します。

理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

一覧に戻る
完全予約制
ご予約はこちら